クラリネットといえば一般的に「B♭(ベー)クラリネット」を思い浮かべる人が多いと思いますが、実はそのほかにもたくさんの種類があることを知っていますか?クラリネットの種類は、細かい調性の違いなども含めると、なんと20種類以上もあるといわれています。
クラリネットの仲間は20種類もいるのじゃな…
今回はそのなかから特にメジャーなものを取り上げて、それぞれの楽器の特徴などについて紹介します。
この記事では現在一般的に用いられている6つのクラリネットを紹介します!
【英語表記あり】クラリネットの種類一覧して紹介!
クラリネット属の主な楽器を一覧にしました。B♭(ベー)クラリネットのほかにもさまざまな種類があることがわかりますね。
ちなみに、ほとんどのクラリネットは移調楽器であり、別称で使われているB♭、E♭、Aは音名をあらわしています。つまり、楽譜上のC(ドの音)を出すと、それぞれの楽器でB♭(シ♭)、E♭(ミ♭)、A(ラ)が出るということです。
主な名称 | 英語表記 | 細かい名称 |
ソプラニーノクラリネット | sopranino clarinet (piccolo clarinet) | ・E♭(エス)クラリネット |
ソプラノクラリネット | clarinet (soprano clarinet) | ・B♭(ベー)クラリネット ・A(アー)バセットクラリネット |
バセットクラリネット | basset clarinet | ・B♭(ベー)バセットクラリネット ・A(アー)バセットクラリネット |
アルトクラリネット | alto clarinet | ・E♭(エス)アルトクラリネット |
バスクラリネット | bass clarinet | ・B♭(べー)バスクラリネット |
コントラバスクラリネット | contrabass clarinet | ・E♭(エス)アルトクラリネット |
ベークラと呼んでるけど、ソプラノクラリネットという名称だったんじゃな~
バセットクラリネットと同じころに普及し始めた「バセットホルン」も、クラリネットの仲間です。ほかにも、「コントラアルトクラリネット」や、「オクトコントラバスクラリネット」などがあります。
クラリネットの種類による大きさと役割違い
ここからは、クラリネット属のそれぞれの楽器について、もう少し詳しく説明していきます。
E♭(エス)クラリネットについて
「ソプラニーノクラリネット」とも呼ばれるE♭(エス)クラリネットは、クラリネット属のなかでもっとも小さく、もっとも高音が出る楽器です。長さは約50cmで、B♭(ベー)クラリネットより4度高い音を出せます。
ラヴェルの「ボレロ」では次々とソロを演奏する楽器が変わっていきますが、中盤あたりでE♭(エス)クラリネットのソロが聴けますよ。ちなみに、序盤にはB♭(ベー)クラリネットのソロもあります。
B♭(ベー)クラリネットについて
「ソプラノクラリネット」とも呼ばれるB♭(ベー)クラリネットは、クラリネット属の楽器の中でもっとも一般的に使われる、明るい音色の楽器です。特に吹奏楽では、オーケストラにおけるヴァイオリンのような役割を担う重要な存在。長さは約70cmあります。
B♭(ベー)クラリネットは、オーケストラ、吹奏楽、室内楽などのあらゆる楽曲で用いられます。なかでもモーツァルトの「クラリネット協奏曲」は有名です。ほかには、ガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」における冒頭のソロなどでもおおいに活躍します。
A(アー)クラリネットについて
A(アー)クラリネットはB♭(ベー)クラリネットより2度低い音が出る楽器。B♭(ベー)クラリネットと同じく、ソプラノクラリネットと呼ばれることもあります。
B♭(ベー)クラリネットより1cm前後長く、音色は深くしっとりとしています。オーケストラの演奏者はB♭(ベー)クラリネットとA(アー)クラリネットの2本を持って舞台に上がり、途中で持ち変えることもあります。吹奏楽で用いられることは少ないでしょう。
ごくまれに吹奏楽でもアークラを使うシーンが存在するぞ!
アルトクラリネットについて
アルトクラリネットはオーケストラではあまり使用されず、吹奏楽やアンサンブルなどで使われることの多い楽器です。長さは約90cmあります。
中音域を担う楽器なので、吹奏楽では同じく中音域のテナーサックスやトロンボーンなどと一緒に演奏することが多いでしょう。高音域と低音域をつなげる橋渡し的な役割を持っています。
バスクラリネットについて
長さ約1mのバスクラリネットは、吹奏楽で使われることの多い楽器です。オーケストラの作品に登場することもありますが、ソプラノクラリネットより約半世紀遅れて誕生した楽器なので、モーツァルトやベートーヴェンの曲では基本的に使われません。
バスクラリネットは歴史の浅い楽器なんじゃな!
チャイコフスキーはバスクラリネットを使った曲を多く作曲しています。特に「くるみ割り人形」には、バスクラリネットの活躍する場面がたくさんあります。
チャイコフスキーのくるみ割り人形ではバスクラリネットが大活躍!
コントラバスクラリネットについて
コントラバスクラリネットは、B♭(ベー)クラリネットより2オクターブ、バスクラリネットより1オクターブ低い音が出るとても大きな楽器です。吹奏楽やクラリネットアンサンブルにおいて、響きに奥行きや重厚さを与える大切な役割を担います。
コントラバスクラリネットはたまに見かけると厳つくてかっこいいのよな~
クラリネットの種類 ~まとめ~
今回は、よく使われるメジャーなクラリネットを数種類紹介しましたが、クラリネットには全部で20種類以上もの種類があります。それぞれの楽器には、その楽器ならではの個性を生かして活躍できる楽曲がたくさんあります。興味のある人はぜひ探してみてくださいね。
クラリネットファミリーに興味を持ってもらえれば幸いじゃ!