吹奏楽で使われている楽器を見渡すと、「あれ?似たような黒い楽器が2種類あるなあ」と思ったことはないでしょうか。それは、「クラリネット」と「オーボエ」です。それぞれの特徴を解説していきます。
初めて見た時は全く区別が付かんかったのを思い出したのう
この記事ではクラリネットと見た目がとても似ている「オーボエ」という楽器について解説します!
クラリネットに似た楽器の正体はオーボエ!オーボエってどんな楽器?
オーボエもクラリネットも、同じ木管楽器の仲間です。1番の違いは、クラリネットは「シングルリード楽器」オーボエは「ダブルリード楽器」というところです。
クラリネットにはマウスピース(歌口)があって、そこにリードと呼ばれる板が1枚付いています。けれどもオーボエにはマウスピースがなく、2枚の合わさったリードが楽器に直接ささっています。遠くから見ると、まるでストロー付きの楽器を吹いているようにも見えます。
吹いてる口の部分を見れば区別ができるという訳じゃ!
オーボエとクラリネットは発音体が違うので音質も違う
オーボエのようなダブルリード楽器は、とても特徴的な音をしています。草笛やストロー笛のような、どこか懐かしさを感じる、聴き手の心を和ませてくれる音です。
クラリネットは、数ある管楽器の中で「もっとも人の声に近い」といわれます。柔らかい音色が魅力的です。
低音は太くあたたかく、また高音は華やかできらびやかな音がします。ひとつの楽器で鳴らせる音域が4オクターブ弱と広い上に、 低音と高音で音質が変わるのが、クラリネットの魅力でもあります。
クラリネットは音域が4オクターブ弱とかなり広いため、様々な表情を聴くことができます。
クラリネットとオーボエの「オーケストラで」の役割
どちらも木管楽器じゃが、違いはあるのかのう?
オーケストラの奏者がステージに入場して演奏を始める前に、全員が「A(ラ)」の音を出してチューニングをします。1番初めに「A」の音を鳴らし、チューニングの基準音となるのがオーボエです。オーボエの音は、よく響きますので数十人いる演奏家たちに聞こえやすいのです。そしてオーボエは調整が難しい楽器なので、他の楽器の音に合わせるということが苦手です。そこで、他の楽器の方がオーボエに合わせる、といった形をとるようになったのです。
オーボエは調整が難しい楽器であり、「世界一難しい楽器」としてギネス認定されたこともあります。
クラリネットは、オーケストラではソロ的な役割を果たすとともに、木管パートの中間音域を受け持ちます。また、吹奏楽でよく使われるB♭管クラリネットだけでなく、少し大きなA管クラリネットも使われます。
クラリネットとオーボエの「吹奏楽」での役割
吹奏楽では大半をクラリネットが占めていますぞ!
オーケストラには弦楽器があり、メロディーの多くをバイオリンが担っています。しかし、吹奏楽ではコントラバス以外の弦楽器が使われていません。そこで、オーケストラにおけるバイオリンの代わりの役割を、クラリネットが担当しています。吹奏楽でクラリネットの人数がとても多いのは、そのような理由からです。(オーケストラでも、バイオリンはかなりの人数ですね)
オーケストラはヴァイオリンが主体の編成ですが、吹奏楽ではクラリネットが主体となっています。
オーボエの役割は、主としてソロを担当することです。オーボエの音はよく「通る」音です。 音量自体はそれ程でもないので吹奏楽の中で全体が音量を上げると埋もれてしまいますが、音量を落としていくとオーボエの音は目立ちます。この「通る」という性質の為にソロが多いのです。
どちらの楽器の方が歴史が長い?
オーボエの原点は葦笛で、エジプトの古代壁画にも描かれるほどの歴史ある楽器です。
エジプトの古代壁画にいるってなんだか大先輩な楽器の気がするぞ、、
葦笛の1つにトルコのズルナという楽器があります。ズルナが大陸を越え、日本に渡ったものがチャルメラとなり、17世紀中ごろにフランスに渡ったものがオーボエとなったといわれています。ラーメンの屋台や、豆腐屋さんの呼び込みで聴かれるあの音、確かにオーボエの音に似ていますよね。
クラリネットは木管楽器の中でも比較的新しい楽器です。18世紀初めに、シャリュモーという楽器を改良して作られました。シャリュモーは低い音域を得意としましたが、改良された楽器は高音域にも豊かな響きを持つという特性があったのです。この楽器の音が、昔の高音トランペットである「クラリーノ」という楽器に音色が似ていたため、「クラリネット」と名付けられました。
歴史的にはオーボエの方がクラリネットよりも先輩ということじゃな!
楽器を始めるならクラリネットとオーボエどちらがお勧め?
オーボエはギネスブックで「世界一難しい楽器」とも認定されています。楽器に吹き込む息の量は少ないのですが、リードに高い圧力をかける必要があります。常に口の中に空気が余って苦しいのです。
オーボエはどの楽器よりも「息が余って苦しい楽器」なんじゃ
リードは非常に調整が難しく、また日によってその調子もまちまちです。リードのご機嫌を取るのに非常に苦労する楽器です。プロ奏者の中には市販のリードを買わずに、自分で手作りしている人も多いです。とても美しい楽器ですが、個人の趣味で始めるという場合は管理の大変さなども考慮した方が良いので、少しハードルは高いかもしれません。
一方クラリネットは、ppからffまで強弱の表現も豊かに演奏できますし、メロディーからハーモニー、伴奏までどんな役でもこなせるなんでも屋です。クラシックからポップス、ジャズなど、様々なジャンルが演奏でき、楽譜もたくさん出版されています。いろいろな音域のクラリネット(エスクラ・バスクラ・コントラバスクラなど)でアンサンブルもできて楽しいですよ。
クラリネットとオーボエが活躍する曲を紹介!
オッフェンバック作曲「天国と地獄 序曲」
運動会で流れる有名な曲の冒頭部分です。クラリネットソロに続くオーボエソロで、2つの楽器の良さを存分に味わうことができます。
ラヴェル作曲 「ボレロ」
同じメロディーをいろいろな楽器がソロで演奏します。クラリネット、オーボエも登場します。聴き比べが楽しいです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。オーボエとクラリネットは、見た目こそ似ていますが、まったく違う楽器という事がお分かりいただけたかと思います。オーボエとクラリネットを知るきっかけとなれたら幸いです。
オーボエとクラリネットは似て非なる楽器!役割も違い、木管楽器という点しかほとんど共通点はない