クラリネットを吹いていると、「クラリネットっていつの時代にできたものなの?」「昔からクラリネットってこの形なの?」など疑問が湧くことが出てくるかと思います。今回はクラリネットの歴史について詳しく解説していきますね。
クラリネットの誕生秘話を知りたいのう〜
この記事ではクラリネットの歴史について全て紹介します!
クラリネットの歴史は300年ある
クラリネットの誕生
- クラリネットの起源は、今から約300年前の18世紀初め頃にドイツのニュルンベルクに住む楽器製作者、ヨハン・クリストフ・デンナーが、フランスの古楽器「シャリュモー」を改良し製作したことといわれています。この時デンナーが作ったものは、レジスターキイともう1つ、2つのキイだけが付いたクラリネットでした。
- 1812年に、ドイツのミューラーという奏者が、どんな調性の曲も1本の楽器で演奏できる13キイのクラリネットを考案しました。現在のエーラー式クラリネットの始まりと言われています。
- 1839年に、クローゼという奏者とビュッフェ(クランポン社の創始者)がベーム式フルートのキイシステムを参考に、ベーム式クラリネットを開発しました。
現在、ミューラーのクラリネットはエーラー式クラリネット、クローゼ&ビュッフェの考案したクラリネットはベーム式クラリネットに進化!
ベーム式とエーラー式について
- ベーム式(フランス式)
最も一般的なシステムで、日本ではほとんどの奏者がベーム式の楽器を使用しています。1834年にフランスのクローゼとビュッフェ(現在のビュッフェ・クランポン社の創設者)が協力して、フルートの「ベーム式」のキイシステムを参考に発明しました。華やかな明るい音色を持ち、機構は複雑ですが運指が比較的単純で、初心者でも扱いやすいのが特徴です。
- エーラー式
1812年にミュラーが開発した13のキーを持つクラリネットを元に、ベーム式クラリネットの発明から約60年後にオスカール・エーラーによって開発されたシステムです。
オーケストラで使われており、ベルリンフィルや、ウィーンフィルではエーラー式が採用されています。温かみがありダークでつやのある音色を持つクラリネットです。
現在使われているクラリネットのシステムは2種類あるのじゃな!
クラリネットの先祖、シャリュモーについて
シャリュモーはシングル・リードにマウスピースを付けた円筒形の木管楽器で、キイはなく、穴が8つのみ。音域も1オクターブしかない単純な楽器でした。見た目はリコーダー、音色はクラリネットに似ていますが、より暖かく柔らかい音がします。17〜18世紀のバロック時代に様々な種類(ソプラノ・アルト・テノール・バス)が作られました。
18世紀の後半頃までオーケストラに使用されていたといわれていますが、現存する楽器は数少ない上、作者不詳のものが多く、関連資料もわずかしか残っていません。
では、そんなシャリュモーの響きをお聴きください。
見た目はリコーダーなのに、クラリネットそっくりの音というのが不思議じゃな!
クラリネットの先祖は、リコーダーのような見た目の、シャリュモーという古楽器
クラリネットの仲間の歴史について
バセットホルンの歴史
バセットホルンは、ホルンと名が付きますが、金管楽器のホルンとは全く違う見た目で、クラリネットの同属楽器です。18世紀後半に発明されました。アルトクラリネットに似ていますが、もう少し高い音域、F管の楽器です。音色は繊細、かつ深みのある美しさがあり、高音域でのせつなさを伴った響きが魅力的。モーツァルトが特に好んで使用していたと言われています。
同属楽器とは、仕組みは同じで大きさが違う楽器のことじゃったな!クラリネットには色々な大きさのファミリーがいるのじゃ。
では、もう1曲、バセットホルンのモーツァルトの名曲をどうぞ👇
アルトクラリネットの歴史
一方、アルトクラリネットはEs管で、19世紀に入ってから軍楽隊のアルト音域を担当するクラリネットとして発明されました。そのため、バセットホルンがB♭管のクラリネットと同じ内径を持つのに対して、アルトクラリネットは太い内径と大きなマウスピースに、調性も軍楽隊で使われるEs管になったのです。
バスクラリネットの歴史
バスクラリネットが最初に作られたのは、クラリネットの発明から約100年後の、18世紀終わりでした。
19世紀に入って改良が重ねられ、1838年にアドルフ・サックスが現在のバスクラリネットの形を作りました。
アドルフ・サックスは20歳の時に、バスクラリネットの設計で特許を取得したのじゃぞ。すごい人じゃな!
楽器界の中ではクラリネットは比較的歴史が浅い楽器である
クラリネットはほかの木管楽器に比べると歴史の浅い楽器です。オーケストラでも新参者ですので、モーツァルトやハイドンのような古い時代のオーケストラ曲では、クラリネットが使われていないケースがよくあります。
モーツァルトはこの新参楽器の音程の悪さを指摘していたようです。この頃のクラリネットは、まだまだ楽器として完成していませんでしたからね。しかし晩年になって、ようやくクラリネットの作品を書くようになり、クラリネット協奏曲やクラリネット五重奏曲といった大傑作を残してくれました。
クラリネットは歴史が浅く、古い時代のオーケストラ曲には使われていません。
クラリネットがオーケストラの曲で最初に使われたのは?
18世紀に、ドイツの「マンハイム宮廷楽団」をヨーロッパで最初の卓越したオーケストラに育て上げたのが、ボヘミア出身の作曲家・ヴァイオリニストのヨハン・シュターミッツです。
彼によって、初めてオーケストラにクラリネットが2本採用されました。シュターミッツは音楽史上初めてのクラリネット協奏曲も残しています。それまで、クラリネットがオーケストラの中ではトウッティ(全体の演奏)でしか使用されることがなかったのですが、協奏曲のソロ楽器として使用されることは格段の進歩でした。
では、クラリネットが初めてオーケストラに採用された交響曲をお聴きください。(楽譜2段目がクラリネットです。)
初めてクラリネットをオーケストラに採用したのは、ボヘミアの作曲家シュターミッツ。
クラリネット以外の木管楽器はそれぞれ何年ぐらい歴史がある?
- フルートの原型は約500年前に登場しました。元々フルートという言葉は、横笛と縦笛(リコーダーをフルートと呼んでいた)の両方に使われていたのです。横笛型が年月をかけて改良されていき、1847年にドイツ人のフルート奏者・製作者のテオバルト・ベームによって現代的なフルートが完成しました。
- オーボエは、約400年前、軍隊などが屋外で使用していたショームという楽器を、木管楽器製作者のオトテール一族が室内音楽用に改良したものです。初めて弦楽だけの楽団に加わった管楽器だといわれています。
- ファゴットは約450年前には使われていたといわれ、前身となるドゥルシアンという楽器にはソプラノ、アルト、アルト、テノール、バスと、多くの同属楽器がありました。
フルートの祖先は4万年前に動物の骨で作られた横笛、オーボエの祖先は4000年前古代エジプトの壁画に描かれていた葦笛ということじゃ!とてつもなく古くからあるのじゃな…。
まとめ
いかがでしたでしょうか。シャリュモーから、紆余曲折経て、現代のクラリネットが完成したと分かると、感慨深いものがありますね。ぜひいろいろな時代のクラリネット曲を聴いてみてください。そこからも歴史を感じることができるでしょう。